特別展「京のかたな」に行った話
2018年10月16日、京都国立博物館に行った。
特別展示「京のかたな」を観るためだ。
■はじめに
これまでで刀がテーマの展示に行ったことはない。
なぜ今回行こうと思ったのかというと、『圧切長谷部』がどうしても見たかったからである。
昨年からブラウザゲーム「刀剣乱舞」をプレイし始めて、そのゲームのキャラクター「へし切り長谷部」が好きになってしまった。
このゲームは刀を擬人化しており、好きなキャラクターのモチーフである『圧切長谷部』をどうしても、見なければならない。
そんな使命感に駆られ京都に赴いたわけである。
そして、今。行って良かったと心から思う。
荒ぶる思いを落ち着かせるために、そしてあの感動を忘れないために、あの日の出来事を書こうと思う。
ちなみに刀に関する知識はない。
あくまで自分のための備忘録である。
■『三日月宗近』との対面
京都国立博物館に到着したのは、13時ごろ。入館までの待ち時間は約30分。
入口の左手側で音声ガイドをレンタルし、奥のエレベーターで3階へ。
最初に銘尽と合戦絵巻を見、『三日月宗近』が展示されているケースへ向う。
展示されているケースの最前列で見るためには並ぶ必要があり、『三日月宗近』の列は約20分ほど待った記憶がある。
そして自分の記憶の中では初めて、間近で刀を見た。
これが、また、あんまりにもきれいで驚いた。
並んでいる間、遠くから見てもわかる優美な曲線。
正面から対峙し、角度を変えてみると星が散ったような光が映り、夜空を見ているよう。
側面から覗くと、とても薄い。
刀がこんなに薄いものだとは思っておらず、また驚いた。
残念ながら『三日月宗近』の名前の由来となった三日月模様は認識できず…。
(帰宅後ネットで知らべ、三日月模様を確認。下調べって大事だ。)
それでも、『三日月宗近』の美しさに魂が抜けそうになった。
■どこを見ても刀
序盤からこんなので正気が保てるのか、一抹の不安を覚えながら次へ進む。
最前列で見るとなるとこの日は順番待ちが発生しており、3階をぐるっと一回りした時点で一時間以上経っていた。
2階へ降りるとさらに混雑していたため、「どこかで調整しないと時間が足りない」と判断。
最前列で見る箇所、後ろから見る箇所を切り替えながら回ることを決める。
2階は刀鍛冶の台頭をテーマに、粟田口派などの刀が並ぶ。
どこを見ても、刀。一つ一つ鑑賞すると、それぞれに特徴がある。
みんな、なんか、違う。
刀初心者なので具体的には述べられない。
圧倒されながら1階へ。
1階ではこの日から期間限定で展示されている『髭切・鬼切』に人が集まっていた。
隣には『膝丸・薄緑』が並んでおり、源氏重代の刀を同時に鑑賞できるということで話題になっていた。
この辺りからお目当ての『圧切長谷部』がもうすぐ見れると浮足立っており、たくさん刀を見たはずなのによく思い出せない。
そして『圧切長谷部』を見るべく、列へ並ぶ。
■国宝『圧切長谷部』
入った部屋は明るく、その光を受けて刀が輝いていた。
列の隙間から垣間見る度、緊張で爆発しそうだった。
そして最前列へ。
正面から見ると、皆焼と呼ばれるまだらな白い模様が、雲のように全体に散っていた。
立って、屈んで、角度を変える度に、模様に反射して煌く刀。
光の粒の中に、橙色に揺らめく炎を見た。
そのとき、ああ、これが長谷部なのかと。一人納得した。
きれいで、ずっと見ていたい。そんな刀だった。
もう書きたいことは書ききった。
吐き出したかったのは『圧切長谷部』への思慕である。
また、見たい。もっと見たい。展示から帰ってきても、あの煌きが忘れられない。
刀への知識がなくても、心奪われるには十分な魅力があった。
この先、生きていれば、また、会いに行く。
そう決意し、『圧切長谷部』との初対面は終わった。
その後、すべての展示を回りグッズを購入し終わったのは17:15だった。
<購入したグッズ>
・図録
・図録トートバッグ
・紙刀(ペーパーナイフ)
・ステンレスしおり
・鍔 茶托
途中駆け足で見たものの、3時間半以上いたことになる。
じっくり見たければ5時間は滞在する覚悟が必要だ。
11月にもう一度来る予定なので、事前準備をして挑みたい。
■反省点など
ここからは自分への反省点とか、駆け巡った感情をそのまま書く。
気持ち悪いことも書くので、気を付けて。
<反省点>
・単眼鏡を持っていかなかった
この日のためにAmazonで購入していたが、荷物受取がうまくできず手元になかった。
持っていれば模様がより詳細に見えたと思う。
・基礎知識の学習はするべき
見どころとか、知っていればもっと楽しめる。時間があれば勉強しておいて損はない。
帰ってきて気づいたが、公式サイトにも見所など記載してくれている。
事前に読んでおけばよかった。
大きな反省点はこの2点。
あとは、当日寝坊したため、京都国立博物館以外は立ち寄れなかった。
せっかくなので、周辺の神社仏閣へも行きたかった…。
■行けて良かった…
今年の1月、『圧切長谷部』が見たくて福岡市博物館に行きたかった。
でも行けなかった。それをずっと後悔していた。
仕事や引っ越しなどタイミングが悪く、泣く泣く福岡に行くことを断念した。
行かない、と選択したときは疲れていたのもあって本気で泣いた。
今もある意味切羽詰った状態ではあるが、見に行くことができてよかった。
姿が見れた今は、もう一度見たい。もっと見たいと思っている。
福岡市博物館では来年また展示されるようなので、そちらにも足を運びたい。
展示会場で『圧切長谷部』を見ている方、みんな熱心に見ていた。
自分が思い入れがあるからそう思っただけかもしれない。
見ている人の熱量が、他と違うように思えた。
あんな薄い刀で人が切れるのか、不思議に思う。
すっと、この首をあの刃が裂く。
あんなきれいなもので死ねたら、いい。